社長ブログ
夜間授乳・おむつ替えがラクになる間取りと収納の考え方
小さなお子様との生活では、夜間の授乳やおむつ替えが大きな負担になります。
特に産後の体調が回復しきらない中で、何度も暗闇を行き来するのは大変なことです。
新築やリフォームで間取りを考える際、この「夜間の動線」と「手元収納」を工夫するだけで、日々の暮らしが格段に楽になります。
住宅アドバイザーとして、経験に基づいた具体的な設計の考え方を解説し、ご家族が笑顔で過ごせる家づくりのヒントをお届けします。
👶 暮らしが良くなる!動線が変える夜間育児の快適さ

夜間の育児は、睡眠不足との戦いでもあります。赤ちゃんが泣き出してからの数分間で、
どれだけ無駄な動きを省けるかが、親御さんのストレス軽減に直結します。
間取りを検討する際には、この「夜間の最小動線」を明確にイメージしておきましょう。
真夜中の移動を最小限にする「寝室と水回り」の連携

夜間の授乳やおむつ替えをラクにするには、主寝室から授乳・調乳に必要なスペース、
そしておむつを処理する場所への移動距離をできるだけ短くすることが大切です。
理想は、寝室に隣接したサブルームやクローゼットの一部を、一時的な授乳・おむつ替えステーションとして活用するプランです。
キッチンが遠い場合は、寝室フロアにミニシンクや電気ポットを置けるスペースを確保するだけでも、移動の手間が大きく減ります。
寝室内の「ウォークスルークローゼット」を活用する収納動線

授乳やおむつ替えに必要なアイテムは、すぐに手に取れる場所に一箇所にまとめるのが鉄則です。
特に夜間は、立ち上がったり、物を探したりする動作が大きな負担になります。
ウォークスルークローゼットがあれば、その通路の壁面を利用して、おむつや着替え、調乳グッズをまとめて収納する計画が有効です。
これにより、寝室内の動線(ウォークスルー)がスムーズになり、赤ちゃんを抱きながらでも、最短で必要なものを取り出すことができます。
要点:夜間動線は、寝室から必要なものへの移動を最小化し、ストレスと負担を減らしましょう。
💡 設計・計画の考え方:育児負荷を減らす具体的な方法
育児の負担を軽減するためには、単に収納量を増やすだけでなく、「収納場所」と「使用頻度」の連動が重要です。
特に夜間、目も頭も働かない状況で機能する設計を意識しておきましょう。
夜間「ワンアクション」で完結させるベッドサイド収納の工夫
ベッドのすぐ隣に、おむつ、おしりふき、着替えなどの必需品を収納するスペースを確保しましょう。
おすすめは、キャスター付きのワゴンや引出し式の収納です。
立ち上がらずに手を伸ばすだけで必要なものが取れる「ワンアクション」で完結する配置にしておくと、
夜間のわずらわしさが大幅に軽減されます。
また、使用済みのものは一時的にフタ付きのゴミ箱へ入れ、朝まとめて処分する動線も計画しておきましょう。
照明計画:明るさではなく「視認性」を確保する

夜間、赤ちゃんが泣いたとき、部屋全体を明るくするのは再入眠を妨げるため避けましょう。
重要なのは、手元と足元の視認性です。寝室のメイン照明とは別に、ベッドの足元や収納スペースの近くに、
暖色で調光・調色機能付きの間接照明やブラケットライトを設置しましょう。
光の色や強さを調整できるため、赤ちゃんにも親御さんにも優しい光環境を整えることができます。
要点:収納はワンアクションで取れる配置とし、照明は暖色の間接照明で視認性を確保しましょう。
🙅♀️ よくある失敗・誤解と回避策
子どもの成長を前提に間取りを考えた結果、新生児期に不便を感じてしまうケースは少なくありません。
よくある失敗と、それを回避するための視点を知っておきましょう。
×失敗例1:収納を寝室の入り口付近に集中させた
扉を開けてすぐの場所に収納を設けると、夜間はベッドから遠く、立ち上がって移動しなければなりません。回避策として、収納の一部をベッドサイドに寄せ、引き出しやオープン棚を活用し、使用頻度の高いものを近くに置くように計画しましょう。
×失敗例2:ゴミ箱の場所を考慮しなかった
使用済みのおむつを捨てるゴミ箱が遠かったり、リビング側にあると、夜間の移動やニオイ対策が負担になります。回避策として、ニオイ漏れ対策のフタ付きゴミ箱を寝室内の手の届く場所に設置し、一時保管場所を確保しておきましょう。
×失敗例3:寝室にコンセントが足りなかった
調乳用の電気ポット、間接照明、スマート家電など、寝室でも電源が必要なものは意外と多いものです。回避策として、ベッドサイドと授乳コーナーになりそうな壁に、通常よりも多めにコンセントを配置しておきましょう。
×失敗例4:回遊動線を重視しすぎた
回遊動線は便利ですが、扉が増えるとコストアップや、夜間に扉を開け閉めする手間が増える場合があります。回避策として、動線を回遊させたい部分と、固定して壁面収納を確保したい部分のメリハリをつけ、本当に必要な場所での動線のスムーズさを優先しましょう。
要点:新生児期の「夜間の動線」と「手元の使いやすさ」を最優先し、将来の成長に合わせてフレキシブルに変更できる余地を残しましょう。
✅ おむつ替えと授乳がラクになる間取り・収納チェックリスト
家づくりの打ち合わせや、現在の住まいを見直す際に、以下の項目をチェックして、
夜間育児の負担軽減に繋がる工夫を取り入れてみましょう。
▢ 寝室から調乳・授乳に必要なミニシンクや給湯設備までの移動距離は最短になっていますか?
▢ ベッドサイドに、おむつ一袋と着替えが入る引き出しやワゴンを置くスペースは確保できていますか?
▢ おむつ替えに必要なアイテム(おむつ、おしりふき、ゴミ箱)が、立ち上がらずに「ワンアクション」で届く配置ですか?
▢ 寝室の照明は、暖色で調光できる間接照明やブラケットライトを選んでいますか?
▢ ウォークスルークローゼットなど、収納内の通路を最大限に活用できていますか?
▢ 夜間授乳で使う小さな道具類(哺乳瓶、水筒、読み物など)を置くサイドテーブルやニッチの計画は大丈夫ですか?
▢ 授乳中の転倒を防ぐため、寝室から水回りへの移動動線(回遊)に物や段差はありませんか?
要点:このチェックリストをもとに、実際に赤ちゃんがいるシーンをイメージしながら、動線と収納の確認を進めていきましょう。
❓ よくある質問
- Q. 夜間授乳のために寝室を1階にすべきですか?
- A. 一般的には、新生児期から乳幼児期は夜間の移動負担を減らすため、寝室を1階に配置する選択肢は有効です。ただし、リビングや水回りとの連携、将来の子どもの成長や夫婦の寝室移動も考慮に入れ、柔軟なゾーニングができる間取りを検討しましょう。
- Q. おむつ替えの収納は、どれくらいの量が入るものが理想ですか?
- A. 収納量は、おむつ一袋(約50枚)や着替え数日分、おしりふき、クリーム類が入る程度が目安です。重要なのは量より「必要なものがすぐに手に届く配置」です。ベッドサイドにワゴンや引き出し式の収納を設置し、一箇所で完結できる環境を整えましょう。
- Q. 夜間、赤ちゃんが泣いたときの照明はどうすれば良いですか?
- A. メイン照明を避け、足元灯や間接照明を活用しましょう。明るすぎると赤ちゃんの再入眠を妨げ、親も目が覚めてしまいます。暖色系の光で、手元が見える程度の明るさ(5W〜10W程度)がおすすめです。調光機能付きのものを採用すると安心です。
新生児期から乳幼児期は、ご家族にとって特別な時間です。
夜間授乳やおむつ替えを「大変なこと」で終わらせず、
間取りや収納計画によって「少しでも楽になる環境」を整えることが、家づくりの大切な役割です。
夜間の動線と手元収納を工夫するだけで、親御さんの負担は減り、
ゆとりをもって子どもの成長を見守れるようになります。
まずは、このコラムでご紹介したチェックリストをもとに、
ご自身の生活で「夜間に動く場所」と「必要なもの」を書き出してみることから始めてみましょう。
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