社長ブログ
“建てて終わり”にしないための、10年後・20年後のメンテナンスを見据えた家づくり

なぜ「メンテナンスコスト」を初期計画に組み込むべきなのか
このコストを事前に見込んでおかないと、必要な修繕を先送りしてしまい、結果的に建物の劣化が進行してより大きな費用がかかる悪循環に陥ってしまう可能性があります。
10年・20年で発生する大規模修繕のリアルな費用感

多くの住宅で、引き渡しから約10年〜15年で外壁の再塗装や屋根の塗り直し、コーキング(隙間を埋める防水材)の打ち替えといった
大規模修繕の時期を迎えます。
これらは、建物の外周全体に足場を組む必要があるため、一度の工事で150万円〜300万円程度の費用が発生することが一般的です。
特に築20年を超えると、給湯器の交換や内装のリフォームも重なり、出費が集中する傾向があるため、計画的な積立を初期段階から行うことが重要です。
要点:10年・20年で発生する大規模修繕費用は数百万円単位になるため、初期の資金計画で必ず積立計画を立てておきましょう。
「家の寿命」を決める設備の交換サイクル
住宅の寿命そのものだけでなく、設備機器の寿命も把握しておく必要があります。給湯器は10年〜15年、システムキッチンやユニットバスの部品は15年〜25年で交換や修理が必要になることが目安です。
これらの設備の交換時期は、外壁や屋根のメンテナンス時期と重なることが多く、費用が集中するリスクがあります。計画を立てる際は、設備機器の耐久性だけでなく、交換時の部品の入手しやすさや工事のしやすさも考慮しておきましょう。
メンテナンス費用を抑えるための「素材選び」の考え方
メンテナンスコストを抑える最も効果的な方法は、初期費用が多少高くなっても、耐用年数が長く、メンテナンスサイクルが長い素材
を選ぶことです。塗料や外壁材の選び方一つで、次回のメンテナンス時期を5年〜10年遅らせることが可能になります。
外壁・屋根:長寿命・高耐久な素材の選び方と費用対効果

外壁で一般的な窯業系サイディング(セメントを主原料とする外壁材)は、10年〜15年での再塗装やコーキングの打ち替えが目安となります。
メンテナンス間隔を延ばすためには、高性能なフッ素塗料や光触媒塗料を選ぶことが選択肢となります。
また、金属系サイディングや、メンテナンスフリーに近いタイル・レンガといった素材は初期費用は高くなりますが、長期的なトータルコストで考えると費用対効果が高くなる可能性があります。
屋根材についても、一般的な化粧スレートより、耐久性の高いガルバリウム鋼板(軽量でサビにくい金属屋根)や瓦を選ぶことで、メンテナンス回数を減らすことが可能です。
水回り設備:寿命を延ばすための製品選びと動線計画
キッチン、浴室、洗面台といった水回りの設備は、耐用年数に加えて、日々の清掃のしやすさも重要です。掃除がしにくい設備は劣化が早まる原因になるため、防汚・抗菌加工がされた素材や、部品交換が容易なシンプルな構造の製品を選ぶことをおすすめします。
また、給湯器などの交換頻度が高い設備は、将来的に交換工事がしやすいよう、屋外のアクセスしやすい場所に設置するなどの配慮も計画に含めておきましょう。
要点:初期費用とメンテナンス費用を比較し、トータルコストで有利になるよう、メンテナンスサイクルが長い外壁材や屋根材、清掃しやすい水回り設備を選ぶようにしましょう。
建築時にできる「将来のメンテを楽にする」設計の工夫
素材選びだけでなく、建物の形状や間取りといった「設計」の工夫によっても、メンテナンスの手間やコストを大幅に削減することができます。特に大規模修繕で必ず必要になる「足場」のコストを念頭に置いた設計が重要です。
シンプルな形状による足場コストの削減

建物の外壁が複雑な凹凸や、入り組んだデザインになっていると、足場を組む費用が高くなり、作業時間も長くなります。将来のメンテナンスコストを重視するならば、外壁を直線的でシンプルにまとめた総二階建てのような形状を選ぶことが賢明です。
また、軒(のき)や庇(ひさし)を深く設計することで、雨や直射日光が外壁に当たるのを軽減し、外壁材の劣化を遅らせる効果も期待できます。
点検口・配管経路の確保とアクセス性
家の内部にある配管や電気配線、屋根裏や床下は、定期的な点検や修理が必要になることがあります。これらの点検や修理をスムーズに行うために、床下収納やクローゼットの天井などに点検口を設ける設計を依頼しましょう。
また、水回りの配管をコンクリート内部に埋め込まず、メンテナンスがしやすいように床下に配置するなどの工夫も、将来のメンテナンス費を抑える上で非常に有効です。
よくある失敗・誤解と回避策(保証・点検・費用積立など)
メンテナンス計画で陥りやすい誤解を知っておくことで、将来の安心度を高めることができます。保証や費用の積立方法について、あらかじめ確認しておきましょう。
- 失敗:初期保証(10年)だけで安心してしまう
回避策:住宅の初期保証は10年で終了しますが、その後も主要構造体については延長保証を受けられる場合があります。この延長保証を受けるには、10年目の有償点検・有償工事が条件となることが多いため、保証が切れる前に内容を確認し、費用を準備しておくことが大切です。
- 誤解:ハウスメーカーの定期点検は無料だと思い込む
回避策:最初の数回の点検(例:3ヶ月、1年、2年など)は無料であることが多いですが、10年目以降の点検は有償になることが一般的です。また、点検で見つかった不具合の修理は別途費用がかかります。点検の費用や範囲について、事前に確認するようにしましょう。
- 失敗:メンテナンス費用を積立せず都度払いにする
回避策:10年〜15年周期の大規模修繕費用を突発的な出費として賄うのは家計に大きな負担となります。毎月1万円〜2万円を目安に、メンテナンス費用を専用の口座に積み立てる計画を立てておくことが、安心して大規模修繕を迎えるための確実な方法です。
要点:10年目の有償点検と保証延長の条件を確認し、大規模修繕に備えて毎月の積立計画を立てておくことで、将来の家計への負担を回避しましょう。
メンテナンス計画のチェックリスト(将来の安心のために)
後悔のない「メンテナンスを見据えた家づくり」を実現するために、以下の項目について、ご自身の計画が十分であるかを確認していきましょう。
▢ 外壁・屋根材は、初期費用とメンテナンス費用を比較し、トータルコストで有利な 長寿命の素材 を選びましたか?
▢ 給湯器などの交換頻度が高い設備は、 交換しやすい場所 に設置する計画になっていますか?
▢ 建物の外観形状はシンプルで、将来の 足場費用が抑えられる デザインになっていますか?
▢ 床下・屋根裏・配管など、 点検が必要な箇所へのアクセス が容易な設計になっていますか?
▢ 10年目以降の有償点検・保証延長の条件と、それに伴う 費用目安 を確認していますか?
▢ 大規模修繕に備えて、毎月 積立を行う専用の口座 を設ける計画はできていますか?
▢ 住宅会社との間で、 長期修繕計画書 (メンテナンススケジュールと費用目安)を受け取る約束をしていますか?
要点:建物の仕様、設計、資金計画のすべてにおいて、長期的なメンテナンスの視点が取り入れられているかを確認しましょう。
本稿の制度・数値は最新の公表情報を前提にした一般的な目安です。詳細は最新の公的資料をご確認ください。
よくある質問
- Q. メンテナンス費用を抑えるために、自分で塗装や修繕をしても大丈夫ですか?
- A. 細かい補修や清掃は可能ですが、外壁や屋根といった建物全体に関わる大規模な修繕は、必ず専門業者に依頼しましょう。
保証が適用外になるリスクや、適切な工法で施工されないことで建物の防水性能が損なわれる危険性があります。特に高所作業は危険が伴うため、DIYは避けるのが安心です。
- Q. メンテナンス費用は、毎月いくら積み立てれば安心でしょうか?
- A. 建物の仕様や大きさによりますが、一般的な目安としては、月々1万円〜2万円程度を専用に積み立てておくことをおすすめします。10年で120万円〜240万円が貯まりますので、10年目の大規模修繕費用(足場代+塗装等)を賄いやすくなります。建築時に住宅会社から長期修繕計画書を受け取り、それを元に積立額を決定するのが最も確実な方法です。
- Q. メンテナンスサイクルが長い外壁材を選ぶと、初期費用はどれくらい高くなりますか?
- A. 一般的な窯業系サイディングに比べて、タイルやレンガといったメンテナンスフリーに近い素材を選ぶと、数百万円単位で初期費用が上乗せになることがあります。しかし、その分、30年〜40年間で数回必要になる再塗装やコーキングの打ち替え費用が不要になります。初期費用と将来のメンテナンス費用、そして住み始めてからの安心感を総合的に比較検討しましょう。
要点:大規模修繕は専門家に依頼し、費用の積立は月1〜2万円を目安に。初期費用と将来のコストを天秤にかけて最適な素材を選びましょう。
まとめ

「建てて終わり」ではなく、10年後、20年後の暮らしの安心を守るためには、メンテナンス計画を家づくりの初期段階から組み込むことが重要です。
外壁や屋根は、初期費用だけでなくメンテナンスサイクルが長い素材を選ぶことで、長期的なトータルコストを抑えることができます。また、シンプルな外観形状や、点検しやすい設計を取り入れることもコスト削減に繋がります。
本記事でご紹介したチェックリストを活用し、10年目・20年目の大規模修繕に備えた資金の積立と、保証延長の条件を事前に確認して、安心して暮らせる家づくりを進めていきましょう。