社長ブログ
【土地探しで失敗しない】素人でも現地でできる「土地選び」4つのチェックポイント
家づくりにおいて、間取りや設備は後から変えられますが、「土地」だけは一生変えることができません。
そのため、土地探しは不安でいっぱいになるかもしれません。
「良い土地」とは、一般的に「希望の家を無理なく建てられ、将来的な資産価値も保てる土地」を指します。
この記事では、不動産の専門知識がない素人の方でも現地で確認できる、「土地の形」「方位」「道路付け」「周辺環境」の4つの基本チェックポイントをわかりやすく解説します。
1. 土地の「形」と「高低差」が建築費に与える影響
土地の形や敷地と道路の高低差は、土地価格だけでなく、建物本体の建築費用に直結する重要な要素です。

土地の形:整形地と不整形地のコスト差
最も家を建てやすいのは、正方形や長方形の整形地です。
間取りの自由度が高く、無駄な建築コストがかかりません。
一方、三角形や細長い不整形地は、土地価格が安くなる傾向がありますが、建物の基礎や外壁に特殊な設計が必要となり、建築費用が割高になる可能性があります。
特に旗竿地(道路に細い通路でつながった奥まった土地)は、通路部分の工事費用や、重機の搬入費用がかさむ場合があります。

高低差:擁壁や追加基礎の必要性
敷地が道路よりも高い、または低い場合、土砂の流出を防ぐための擁壁(ようへき)工事が必要になることがあります。
擁壁の設置や補修は非常に高額(数百万円単位)になることが多く、素人判断は危険です。
高低差がある土地は、必ず建築会社に相談し、擁壁工事の有無と概算費用を確認してもらいましょう。
要点:形や高低差が悪い土地は、土地代が安くても、建築総額が高くなる「トータルコストの逆転現象」が起こりやすいです。
2. 採光と間取りを決める「方位(日当たり)」の考え方
土地の方位、つまり日当たりは、暮らしの快適性を大きく左右します。
一般的に「南向きがベスト」とされますが、それぞれの方位にはメリット・デメリットがあります。
人気の方位の傾向とコスト
南向き:日当たりが最も良いため人気が高く、土地価格も高め。夏場は日差しが強すぎて、遮熱対策が必須になる場合も。
東向き:午前中の日当たりが良く、すがすがしい朝を迎えられます。リビングを東側に配置する設計も人気です。
西向き:夕方の日差しが強く、特に夏場は西日対策が必要です。日中留守がちな家庭には影響が少ない場合もあります。
北向き:日当たりが悪いため敬遠されがちですが、安定した採光が取れ、プライバシーを守りやすいというメリットがあります。設計の工夫(吹き抜けや高窓の設置)で光を取り込めば、快適な空間を作れます。
大切なのは、方位にこだわるよりも、建てたい家の間取りに合っているかです。
例えば、リビングを2階に配置するなら、1階の日当たりの悪さはそれほど問題になりません。
要点:南向きは価格が高い。どの土地でも、窓の配置や断熱性能を工夫すれば、快適な日当たりと室温は実現可能です。

3. 法律と利便性に関わる「道路付け」の確認ポイント
土地の良し悪しを判断する上で、最も専門的な知識が必要で、かつ失敗すると致命的になるのが「道路付け」に関する法規制です。
最重要:接道義務と再建築不可リスク
家を建てる土地は、「建築基準法上の道路に2m以上接していること」が義務付けられています(接道義務)。
この条件を満たさない土地は、原則として建て替えができない「再建築不可物件」となり、資産価値が大きく下がるため絶対に避けましょう。
道路の幅員とセットバック
道路の幅が4m未満の場合、建物を建てる際に敷地を道路の中心線から2m後退させる「セットバック」義務が発生します。
セットバックした部分は自分の土地でも建物を建てられず、実質的な敷地面積が狭くなるため、必ず確認しましょう。
私道か公道か
接している道路が私道の場合、将来、修繕費用が所有者に請求されることや、工事車両の通行に私道の所有者の承諾が必要になる場合があります。公道に接している方が安心です。
要点:「道路付け」は法律上の制限に直結します。必ず不動産会社や建築士に建築基準法上の問題がないかを確認してもらいましょう。
4. 見落としがちな「周辺環境」と「地盤」のチェック
現地調査の際には、単に土地の形状だけでなく、長く住み続けるために重要な周辺環境と、建築費に直結する地盤の状況も確認しましょう。
周辺環境:昼夜・平日のトリプルチェック
気になる土地は、最低でも「昼間」「夜間」「平日」の3回、足を運んでみましょう。
昼間は静かでも、夜間になると工場や店舗の騒音、幹線道路の車の音が気になる場合があります。
また、ゴミ置き場の管理状況、近隣住民の様子、通学路の安全性なども、実際に自分の目で確認することが大切です。
地盤:過去の地歴とインフラ整備状況
地盤の良し悪しは、建築費に大きく影響します。
過去の地歴(古地図や地名)で「沼」「池」「田」など水に関連する情報がある場合、軟弱地盤である可能性が高く、地盤改良工事(100万円以上かかる場合も)が必要になるリスクがあります。
また、上下水道や都市ガスの配管が敷地の前まで引き込まれているかどうかも確認が必要です。未整備の場合、これも付帯工事費として追加費用が発生します。
要点:地盤とインフラ整備は追加費用に直結します。地歴調査を建築会社に依頼し、インフラの引き込み状況をチェックしましょう。
❓ よくある質問(FAQ)
Q. 土地の「形」が悪いと、どれくらい建築費が上がりますか?
A. 不整形地(三角形や細長い土地)や高低差が大きい土地は、基礎や外構(擁壁など)に追加工事が必要になり、建築費が数百万円単位で上乗せされる可能性があります。土地価格が安くても、総額では高くなる可能性があるため、必ず建築会社に概算費用を確認しましょう。
Q. 南向きの土地は、必ずしも良い土地と言えますか?
A. 南向きは日当たりが良いため人気があり、一般的に土地価格も高くなります。しかし、夏場は日差しが強すぎて室温が上がりやすく、高性能な窓や庇などの遮熱対策が必須になります。南向きよりも、建物の配置や窓の取り方次第で、東や西向きでも快適な家は建てられます。
Q. 「再建築不可物件」を避けるには、何をチェックすれば良いですか?
A. 再建築不可になる主な原因は、「建築基準法上の道路に2m以上接していないこと(接道義務)」です。土地を検討する際は、道路の種類(公道か私道か)や幅員を不動産仲介会社を通じて確認してもらいましょう。再建築不可物件は極端に安いですが、将来建て替えができない大きなリスクを伴います。
Q. 地盤の良し悪しを、素人が現地で判断できますか?
A. 素人が地盤の強度を判断することは困難です。ただし、過去に田んぼや沼地、盛り土だった場所(古地図や地歴で確認)は、地盤改良が必要になるリスクが高いです。最終的な判断は、建築前の「地盤調査」の結果に基づきますので、地歴が気になる場合は、あらかじめ建築会社に相談しましょう。
本稿の制度・数値は最新の公表情報を前提にした一般的な目安です。土地の法規制(建蔽率、容積率など)や境界線については、必ず専門家にご確認ください。
💡 まとめ
土地選びは「リスク」をチェックする作業です
土地選びで最も大切なのは、「理想の土地」を探すことよりも、「隠れたリスク」がないかを事前にチェックし、そのリスクを許容できるかどうか判断することです。
今回ご紹介した「土地の形」「方位」「道路付け」「周辺環境」の4つの基本ポイントは、どれも契約後に大きな追加費用や後悔につながる可能性があるものです。
気になる土地が見つかったら、この4つのチェックリストを片手に、建築会社や不動産会社と連携を取りながら、安心して家づくりを進められる土地を選びましょう。
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