代表取締役・設計
髙木 博志
インタビュー
神社仏閣建築を学んだ
学生時代
嘉麻市生まれ、嘉麻育ちの高木博志社長は、陸上三昧の高校時代を過ごし、家業を継ぐこと九産大の工学部建築学科に入学、木造の昔の造りが好きだった高木社長は、たまたま神社仏閣建築を扱う教授の研究室に入ります。神社仏閣は、図面が残っていないことから、測定して一から図面をつくる研究に携わり、1年半ぐらい経験を積みます。
「昔の造り、今の造りは違いますが基礎は共通で、神社仏閣建築は、虫食いや重量などの問題もあり、材質はヒノキなどいいものでないと長持ちしなかったそうです。山奥にある神社が3メートルの雪が積もってもびくともしなかったり、古事記の中にも宮殿をつくるのにひのきを使えと書いてあるのは、ヒノキの幹の太さや香りといった物理的な守り、殺菌効果を昔の人はわかっていたんでしょうね。」と話す高木社長ですが、代々ヒノキにこだわってきた木楽家の原点を学んでいたのかもしれません。
不動産営業で学んだ
“家を建てるために必要なこと”
家業を継ぐために建築学科に入った高木社長ですが、卒業後は父である会長、高木和夫に修行してこいと送り出され東京の不動産会社に就職。ここでは不動産の資産運用や営業といったビジネスの基礎を学びます。
「土地を持ってる人たちにアパート建てませんかという営業していたんです。大変だったのは、休みが全然なくて、1年ぐらいは仕事がとれなかったこと。1日200件ぐらい電話をしては切られ、夜10時ぐらいまで仕事して朝は8時から仕事と、あの時代ならではですが、メンタルはとても鍛えられました(笑)」
5年務めた不動産会社で得た学びは、“お客様の土地を扱うことから調査する能力がついたこと”。この土地はどういう土地柄で、電線があって・・・といった細かい情報から、登記上の問題がないか確認したり、資産運用もするので銀行と対峙し、住宅ローンなどの銀行とのやり取りなどの経験が、ただ家を建てるだけではない、“家を建てるために必要なこと”をお客様と同じ目線で解決できるアドバイスができる今の木楽家につながっています。
嘉麻に戻ってきた頃の高木社長
ローコストの家から
ハイクオリティの家へ
その後、嘉麻市に戻り木楽家を継承、住宅の営業、設計を営むようになったのが14年前です。会長の代から続く木楽家が、リフォーム中心の仕事からローコストの家を建てる仕事に変えていった3年目ぐらいの時期に嘉麻市に戻りますが、高木社長はいずれローコストから方向転換したいという気持ちがあったそうです。
「ただのローコストではなくハイクオリティを目指したいと思って。父とは向かっている方向が一緒だし、おまえこうしろよ!と言わないタイプなんです。お前がやるならやれとまかせてくれるし自由にさせてくれました。」
嘉麻市に戻って2、3年目で事務所を建て替え、ローコストではなくハイクオリティを一番の視点に置いた経営方針に変えたといいます。ハイクオリティを大事にしたことで、理不尽なクレームなども減り、建てた家も長持ちし満足度も高まることからお客様も不満なども減少し、自分たちも楽しく仕事ができるようになったんだとか。
職人さんとの
信頼関係で大事なことは
敬意を払うこと
また、嘉麻市に戻ってきてすぐは職人さんとの痴話喧嘩が絶えなかったといいます。高木が当時まだ28歳と年齢が下だったこともあり、職人さんの方が年上のことも多く、はじめはいろいろなことがわからずに何も言えずにいたとのことですが、だんだんと言いたいことを職人さんに言えるようになり、よく喧嘩していたそうです。
「最初認めてくれてないから聞いてくれないんですよ(笑)。でも、だんだん言う事を聞いてくれるようになりました。2、3年経ってからある時、忘年会で一緒に飲んだ電気屋さんから、自分のことを“現場監督としてちゃんと職人さんには敬意をはらってくれてるよね”と言われたことが嬉しかったですね。」
“自分ができないことをやってくれているから敬意を払っている”と話す高木社長から、必要な現場監督と職人さんの線引きも大事にしつつ、仕事をお願いする職人さんも大事にしていることを感じました。
将来の夢は、
子どもたちのために
「木育広場」をつくること
「今やりたくてしょうがないのは事務所の隣の土地に木育広場をつくることです。畑をつくったり、木育広場を作ったり子どもたちが遊べる場所をつくりたいですね。私達の仕事は子どもとワンセットだと思っているんです。
親は誰もが子どもとってにいいことをさせたいですよね。だから単純に、木に触れることはいいことなんじゃないかと思ったんです。うちはヒノキの廃材が出るので、余ったヒノキを使って子どもに遊んでもらうことによって、子どもや親、そして自分たちもみんな喜ぶから、みんなで良好な関係が築けるんじゃないかと。いい循環サイクルができるから、自分が残せるのはそういうところなんじゃないかと思うんです。」
国産のヒノキという材料に魅了され、強いこだわりを持って家づくりを行っている木楽家。学生時代に学んだ神社仏閣建築にも使われていた、ヒノキの強度や耐久性、強い芳香といった住宅に適した建築材料としてのヒノキを使い、お客様の幸せな暮らしを実現させたいという木楽家の思いがお客様に届けばと思います。